『不思議ナックルズ』(ミリオン出版)



レギュラーで制作させて頂いている不思議ナックルズの表紙。上が採用分。下は修正前のオリジナル。

モチーフは小説、映画などなど様々なメディアで取り上げられている津山事件での津山三十人殺しの都井睦雄。彼の印象は、子供の頃見た『八つ墓村』があまりに恐くて、単純な(?)猟奇殺人事件の犯人のイメージしか無かったのですが、色々資料などを読んでみると、本人の性格、生い立ちは言わずもがな、その土地の風土や時代が生んだ悲劇のような一面が大きい事件の印象を持つようになった。

現代はメディアの発達によって全国津々浦々の事件や事故が事細かくニュースで流れるようになったけせいか、残忍だったり、猟奇的な事件が多いような印象を持ちがちだけれど、たかだか数十年前まで遡るだけでそれは信じられないような事件がめじろ押しだ。人間はしょせん人間。二十世紀に入ってから、前時代の人間には到底信じられないような発達を遂げてきたけれど、はたして人間は自らを発達、進化させる事が出来たのだろうか。もちろんそんな事は無いと思う。

文明が発達すればそれに見合わない、疎外感を持った人間が必ず現れると思う。だからきっと、皆が皆、真直ぐ前だけを向いて進んでいく事なんて出来なのでは無いだろうか。